まずはこちらの動画をご覧いただきたい。
2023年2月9日7時半頃、冒険者達は震撼した。折しもTwitterの不具合で「ツイートの送信ができない」中、どれほどの人々が文字にならない雄叫びをあげ、驚喜にもんどりうったことだろう。筆者もそのひとりである。
先のニンテンドーダイレクトにて、「世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」HDリマスター版についての発表がなされた。詳細はこの任天堂トピックスの記事に譲るとして、ここではシリーズのファンとして、いち冒険者として語らせていただきたい。
世界樹の迷宮(以下、SQ)シリーズは2018年発売の「X」(クロス)を最後に、新作もリメイクもリリースされることがなく、ほぼ音沙汰のない状況が続いていた。
任天堂側のハード事情として、Nintendo Switchの発売が2017年3月3日、一方で3DSの生産終了の発売が2020年9月16日。SQXの前年にはSwitchが既に産声をあげているのだ。
この、全く新しいハードへ対応するため(当時の次の予定が新作であろうと、リメイク・リマスターであろうと)SQ開発陣が議論と試行錯誤を重ねたことは想像に難くないし、言うまでもない。音沙汰がなかったのも、難航する開発事情を抱えた中で「表にできる情報があまりにも少なかった」ためではないだろうか。プレイヤーへの発信もなかなか思うようにできないまま経過したのが、この4年半の歳月だったのではないか。
そう、我々は4年半待ったのである。
しかしその間苦しんだのは公式も同じであるはずだ。もしかしたら同じどころかそれ以上。私はビデオゲームの制作についてなんの技術も造詣も持たず、ましてやその現場を体感したこともない。が、現場の人々に思いを馳せ、想像を巡らすことはできる。
ものを作る側として、「次」を期待してくれるユーザーを前に、表立って報告できることが何もないという申し訳なさと苦悩を思うと今にも卒倒しかねん勢いである。モノは違えど私にもそういう経験が、少しだけあったので。
話を戻す。
3DSの生産が終わり、ニンテンドーeショップでのサポートももうすぐ終了しようとしている現状で、先の発表は
「まずはSwitchで遊べる状態を確保しよう」
という意気込みがうかがえた。私はこれを英断と讃えたい。
しかも3段階からの難易度選択や利き手設定、スキルツリーの見やすさ、クラスにとらわれないキャラグラフィック選択が可能な新仕様などなど、かゆいところに手が届きまくる設計はもはや千手観音である。「最新ハードで快適に遊んでもらうため」「手に取ってもらいやすくするため」いかに開発陣が心を砕いてきたかをひしひしと感じ取れる。ベタ移植でない“リマスター”の意義がここにある。
ニンダイで発表された当日に公式生放送という初速の勢いも盛り上がりに大きく貢献していた。
Youtubeのアーカイブによれば高評価数3167、視聴回数56,453(※2月10日0時49分現在)、Twitterでは #世界樹生放送 のハッシュタグが「日本のトレンド」の2位に昇りつめるという事態に。
(これを書いている今、生放送ゲストをつとめた川原慶久さんのTwitterスペースを拝聴しているのだが、リスナー数が他148人とか表示されとる。震えている)
この怒涛の1日の出来事だけでも、待った甲斐は確実にあった。
4年半の間、心ない声を見かけて胸を痛めることもあった(『きっと見えないところでがんばってんだからあんまり言ってやるなよ……想像してあげておくれよ……好きなら私と一緒に信じておくれよ……』という気持ち)。好きなコンテンツの開発元が悪しざまに言われているのを見たくなくて、関連ワードをミュートしていたこともあった。特にナイーヴな時期だったと思う。だがもう、そんなふうに殻にこもる必要もないのだ。数多の冒険者仲間と共に祝杯をかわし、歓びを享受する時が来たのだ。
信じる者は救われる、とは限らないかもしれない。しかし、SQシリーズを愛し、信じて待ち続けた私は、私という人間は救われた。
少なくともそれだけは確かに言えることである。
(2023/02/10 20:51 一部改稿)
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